ドラえもんの最終回

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Part 4

 自宅の研究室にて...。
 あれからどれくらいの月日が経ったのでしょう。しずかちゃんが研究室に呼ばれました。絶対に入ることを禁じていた研究室でした。中に入ると夫であるのび太は微笑んでいました。そして机の上にあるそれをみて、しずかちゃんは言いました。「ドラちゃん...?」のび太は言いました。「しずか、こっちに来てごらん、今、ドラえもんのスイッチを入れるから。」頬をつたうひとすじの涙...。しずかちゃんはだまって、のび太を見つめています。
 この瞬間のため、まさにこのためにのび太は技術者になったのでした。
 なぜだか失敗の不安はありませんでした。こんなに落ち着いているのがヘンだと思うくらいでした。のび太は、静かに、静かに、そして丁寧に、何かを確認するようにスイッチを入れました。ほんの少しの静寂の後、長い長い時が繋がりました。「のび太くん、宿題はすんだのかい?」ドラえもんの設計者が謎であった理由が、明らかになった瞬間でもありました。
 あの時と同じように、空には白い雲が浮かんでいました。


おしまい。


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