ドラえもんの最終回

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Part 2

 のび太は、なんとかドラミちゃんに連絡を取り付けました。しかし、のび太はドラミちゃんでもどうにもならない問題が発生していることに、この時点では気が付いていませんでした。いえ、ドラミちゃんでさえもこの最悪ともいえる状況には気付いていませんでした。「ドラえもんが治る!」、のび太はうれしかったことだと思います。しかしこの後に人生最大の落胆と決断をすることになってしまうのです。
 せかすのび太と状況を完全に把握できないドラミちゃんは、とにもかくにも20世紀へ戻りました。動かないお兄ちゃんを見て、ドラミちゃんはすぐにお兄ちゃんの故障の原因がわかりました。正確には、故障ではなく電池切れでした。そして電池を交換する、その時、ドラミちゃんはその問題に気が付いたのです。予備電池がない...。のび太には、なんのことか分かりません。早く早くとせがむのび太にドラミちゃんは静かに言いました。「のび太さん、お兄ちゃんとの思い出が消えちゃってもいい?」当然、のび太は理解できません。なんと、旧式ネコ型ロボットの耳には電池交換時の予備電源が内蔵されており、電池交換時にデータを保持しておく役割があったのです。そして、そうです、ドラえもんには耳がない...。のび太もやっと理解しました。そして、ドラえもんとの思い出がよみがえってきました。初めてドラえもんに会った日、数々の未来道具、過去へ行ったり、未来に行ったり、恐竜を育てたり、海底で遊んだり、宇宙で戦争もしました。鏡の世界にも行きました。どれも映画になりそうなくらいの思い出です。
 ある決断を迫られます...。ドラミちゃんは、いろいろ説明をしました。ややこしい規約でのび太は理解に苦しみましたが、電池を交換することでドラえもん自身はのび太との思い出が消えてしまうこと、今のままの状態ではデータは消えないこと、ドラえもんの設計者は、設計者の意向で明かされていないので(超重要秘密事項)連絡して助けてもらうことは不可能であるという、これはとっても不思議で特異な規約でありました。ただ修理及び改造は自由であることもこの規約に記されていました。
 のび太は、人生最大の決断をします。のび太はドラミちゃんにお礼を言います。そしてドラえもんは「このままでよい」と一言告げるのです。ドラミちゃんは後ろ髪ひかれる想いですが、何も言わずにタイムマシンに乗り、22世紀へと帰っていきました。のび太、小学6年生の秋でした。

つづく


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